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石材店が教えてくれない、本当に知りたいお墓の話
日本一の銘石「庵治石」のすべて

車なら、ベンツ、ポルシェ、レクサス...。


時計なら、オメガ、ローレックス...。


バッグなら、エルメス、ルイ・ヴィトン...。


などなど、あらゆるものに高級品と呼ばれるものがあります。


お墓にも同じく高級品と呼ばれる石があります。


愛媛県産の「大島石」、茨城県産の「羽黒青糠目石」
神奈川県産の「本小松石」などが国産高級墓石と呼ばれるものです。


その中でも、最高級品として名高いのが「庵治石(あじいし)」です。


名前くらいなら聞いたことがあるかも分かりませんね!


庵治石は、讃岐うどんで有名な四国の香川県高松市庵治町で採掘され、
現在、世界で最も高級な墓石材として、"花崗岩のダイヤモンド"と称され、
最高級の墓石を希望される方のステイタスとして絶大な人気を誇っています。


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一般消費者には、黒御影石のように極めて特徴があるものでない限り、
お墓に使用する石は、どれを見ても同じように見えるでしょう。


しかし、庵治石だけは違います。


一度見ると、その違いがはっきりと分かるくらいの圧倒的な存在感と、
庵治石特有の模様がかもし出す、独特の雰囲気を持ち合わせています。


見た目も品質も最高級品墓石材である庵治石ですが、
どれもがすべて最高級品の庵治石というわけではありません。


庵治石もピンからキリまで。


自然のものだけに、すべてが同じというわけにはいきません。


最高品質の庵治石を取り扱えるのは限られた石材店だけなのです。


高価な墓石だけに購入には十分な注意が必要です。



1.「庵治石(あじいし)」ってどんな石?

お墓を建てるときに選ぶ素材の中でも、
最も高級な石材と言えばやはり「庵治石(あじいし)」です。

この庵治石は四国・香川県の庵治地方で採掘され、
日本で、いや世界で最も高級な墓石材として知られている天下の銘石です。
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お墓に使用する石材には、国産から外国産まで数多くあり、
日本国内に流通しているのは約300種類とも言われています。

墓地に建てられている墓石にどの石が使われているのかを、
一般消費者の方が見分けるのは、通常は極めて困難なことなのですが、
この「庵治石」に関しては、ほとんどの方が一見しただけで、
「これは庵治石だ!」と分かるくらいの特徴と群を抜く美しさがあり、
庵治石だけが持つ独特の存在感と高級感にあふれています。
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その一番の特徴は庵治石特有の石目にあります。

それは、「庵治石細目(あじいしこまめ)」を中心に現れる現象で、
ふわふわとした、何とも優美で、潤いを与えたような
着物の二重絣のようなまだら模様が石目に現れるのです。

これは、「斑(ふ)が浮く」という何とも幻想的な現象で、
数ある墓石材の中でも庵治石にしか見られない最大の特徴です。

このように見た目はきめ細やかな地肌美人ですが、
中身は水晶と同等のモース硬度「7」の硬さを誇る超硬派なのです。

庵治石だけに現れる、この「斑」と呼ばれる現象は、
地質学上では黒雲母の集合体と言われておりますが、
なぜ、庵治石のごく一部だけに発生するのかは、
採石が始まって1000年経った今でも解明されていません。

庵治石の丁場(採掘場)の岩盤は亀裂が多いため、
採石された原石のうち墓石などに使われるのは、わずか3%~5%程度です。

そして、神秘的な集合体である見事な「斑」が石の表面全体に現れるのは、
庵治石細目の全体産出量のわずか1%程度しかありません。

採掘された石の大半が捨石として、護岸工事などの土木用に使われ、
最高級品墓石材として使われるのは、ほんのごく一部なのです。

この、他の多くの御影石にはない希少性こそが、
庵治石が「世界一高価な御影石」と呼ばれる所以でもあります。

また、外から見れば何の問題のない原石に見えても、
切ってみれば中にキズや黒玉などが出てくる場合もあり、
その後の行程で根気よく取り除いていく必要があります。

庵治石の原石は全体的に大きな塊の石が少なく、
複数の部材の色目、石目を合わせるために長い時間と手間、
そして、さまざまな知恵と工夫、細かい行程など、
庵治の石工たちの卓越した技術が必要になってきます。

多くの長所を持つ反面、扱いの難しい庵治石ですが、
極めて良質な石質で希少な、世界に誇れる銘石です。

独特な模様が織りなす美しさと、職人泣かせと言われるほどの硬さを誇り、
他の石材では得られない荘厳な存在感に溢れた世界一の銘石です。

これだけ扱いが難しく、高価な石材だけに、庵治石でお墓をお考えの際には、
庵治石のすべてに精通している石材店に依頼することが極めて重要です。

石材店選びを間違えば、良い庵治石のお墓は手に入らないと言っても過言ではありません。

2.鉱物学的に見る庵治石の特徴

庵治石は中生代白亜紀頃(約8000万年前)に形成された花崗岩の一種で、
地質学的には「黒雲母細粒花崗閃緑岩(せんりょくがん)」に分類されます。

約8000万年前というと、小惑星の衝突が原因で、
恐竜をはじめとする地球上の生物の70%が死滅した、
といわれるのが約6500万年前くらいのはなしですので、
そこからさらに、さかのぼること1500万年前の、
霊長類が地球に出現したころに庵治石は誕生したのです。
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庵治石は石英・長石・雲母・角閃石を含む極めて硬い石です。

これは、庵治石の結晶が他の花崗岩と比べて非常に小さく、
結合もち密なことが、他を圧倒する硬さを誇る要因です。

モース硬度「7」

庵治石の硬さは、ドイツの鉱物学者、フリードリッヒ・モースが考案した、
宝石などの硬さを表す単位であるモース硬度によると硬度「7」です。

地球上の物質で最も硬いとされるダイヤモンドが硬度「10」、
ルビー、サファイアが硬度「9」、トパーズが硬度「8」となっており、
なんと、庵治石は鋼鉄よりも硬く、水晶と同じ硬度なのです。

ちなみに、私たちの身の回りの物の硬度を調べてみると、
人の爪は硬度「2.5」、10円硬貨は硬度「3.5」、木工用の釘は硬度「4.5」、
ガラスは硬度「5」、ナイフの刃は硬度「5.5」などです。

こうして見ると、庵治石がいかに硬い石かがよくわかります。
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その硬さゆえに、墓石などの製品への加工は困難を要しますが、
反面、他の石ではできない細やかな細工や彫刻が可能なため、
匠の技をもってつくられた庵治石の製品は他を圧倒する美しさです。

石はさまざまな種類の鉱物が結合してできています。

庵治石は石英、長石を主な成分とし、少量の雲母と角閃石を含んでいますが、
それぞれの鉱物の結晶が極めて小さく組織の結合がち密なため、
水を含みにくく、風化や変質にも強く、長い年月を経ても、
彫られた文字が崩れたりすることなく艶持ちも良いという、
数ある御影石の中でも、極めて耐久性に優れた墓石材と言えるでしょう。

しかし、この優れた品質と美しさを誇るすばらしい素材でも、
作り手の技量によって製品の出来栄えが大きく変わってきます。

庵治石は誰でもが簡単に加工できる石ではありません。

ましてや、中国で加工・製作された庵治石墓石などは論外です!

3.庵治石の種類

3-1.屋島より庵治石採石丁場を望む
「庵治石」の故郷は、四国・香川県高松市の
庵治町と牟礼(むれ)町の境、庵治半島のほぼ中心に位置する、
山の全域が花崗岩の層で成り立っている"八栗五剣山"です。

世界でも、墓石材のダイヤモンドと称される「庵治石」も、
地質学的には、その他多くの墓石材と同様に花崗岩の一種です。

庵治石は石英・長石・雲母などの構成鉱物の結晶が極めて小さく、
組織の結合もち密なため、他の花崗岩と比べると、より硬質な石材です。

世界的に評価の高い庵治石の歴史は非常に古く、
平安時代の後期から採石や加工がはじまり、
遠く京都にまで送り出されていたとのことです。

それからおよそ1000年月もの長きにわたり、
今日まで常に大きな注目を集め続けてきたのです。

その庵治石も、含有する構成物質の組織の大小により、
「庵治石細目(あじいしこまめ)」、「庵治石中目(あじいしちゅうめ」、
「庵治石中細目(あじいしちゅうこまめ)」の3種類に分類されます。

さらに、これらの庵治石は、40事業所ほどの採石丁場から採掘され、
それぞれの丁場、採掘時期などによって原石の良し悪しが大きく異なります。

庵治石細目

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この3種類の庵治石の中でも、最も高級なのが「庵治石細目」ですが、
庵治石細目にも種類がピンからキリまであり、値段も倍以上も違ってきます。

庵治石細目は原石内に含まれる小さな黒雲母の数が多く、
磨くと青黒い細かな「紺がすり」のような模様が現れるものもあります。

これが、庵治石最大の特徴で主に「庵治石細目」の高級材だけに現れる、
「斑(ふ)」又は、「ぼたん」と呼ばれる庵治石最大の特徴である現象で、
石に湿り気、潤いを与えたような二重のかすり模様を見せてくれます。

この現象は、世界中の石材の中でも類がなく、
庵治石の最高級品だけに現れる極めて希少な現象です。

庵治石細目は、この「斑」が浮く美しさと、
長い年月を経ても艶やかな光沢を保ち、
低い吸水性と極めて硬い硬度の耐久性を誇る、
名実ともに世界一の最高級墓石材として折り紙つきの素材です。

けれども、人工的にこの「斑」を付けたものや、
中国の石材加工工場でつくられた粗悪な墓石も数多く存在します。

極めて加工が難しく、最も値段の高い石だけに、
「庵治石細目」で墓石をお考えの際には細心の注意が必要です。

【庵治石細目の物性データ】
■比重:2.66
■吸水率:0.19%
■耐用強度:24.2㎏/㎡

庵治石中目

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「庵治石中目」の主な構成物質は庵治石細目と同様、
石英・長石・雲母を主として構成されていますが、
含まれている黒雲母の数が庵治石細目と比べて少ないため、
庵治石細目より、見た目が白っぽく見えますが、
硬度など、庵治石ならではの優れた特性にあまり差異はありません。

また、少量の白雲母も含まれていますので、
銀粉を吹いたような輝きを見せるものもあります。

庵治石中目の高級品には庵治石細目と同様に、
みごとな「斑」が浮き出るものもあり、
白い色目の長石との上品なコントラストが、
庵治石中目ならではの優美な光沢と風合いをかもしだしています。

価格も庵治石細目と比べると少々廉価となっていますが、
それでも、他の墓石材と比較すると、やはり高価で、
愛媛県産「大島石」の高級材と同等の価格となる高級墓石材の一つです。

しかし、この「庵治石中目」も採石される丁場により品質は様々です。

変色・変質しにくく、みごとな「斑」が浮いている素晴らしいものから、
わずか数年でサビがでて、変色の著しいものまでピンからキリまであります。

庵治石中目の墓石を購入する際にも、庵治石細目と同様に、
庵治石をよく知り、産地と密接な関係を持つ石材店を選ぶことが重要です。

【庵治石中目の物性データ】
■比重:2.67
■吸水率:0.20%
■耐用強度:18.8㎏/㎡

庵治石中細目

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「庵治石中細目」は石目の細かさも色合いも、
庵治石細目とちょうど中間の雰囲気を持つ石です。

庵治石細目と比較すると、含まれる黒雲母の数が少ないため、
庵治石中目とまではいきませんが、やや白っぽく見えます。

その中でも、黒っぽい色調の黒口と、白っぽい白口とがあり、
黒口には、庵治石細目ほどではないが、
庵治石特有の「斑」が浮き出るものもあります。

白口は庵治石中目によく似た雰囲気で、
清楚で上品な風合いを持っています。

庵治石細目と庵治石中目と比べ、採石量が少ないため、
近年では墓石としての建立数も少ないのが現状です。

硬度は細目とほぼ同じで、透明感と繊細で優しい石質が高級感を備えています。

【庵治石中細目の物性データ】
■比重:2.67
■吸水率:0.20%
■耐用強度:20.0㎏/㎡

庵治石は世界に類の無い質の良さと希少価値から、
現存する石材としては世界一と評され、
産地には数多くの有名彫刻家がアトリエをかまえています。

庵治石は他の石材では感じられない独特の雰囲気を持ち、
四季を通しての様々な表情を楽しませてくれます。

春のほのぼのとした日差しによって際立つ透明感のある青色。

夏には暑さをしのぐ優しさを兼ね備えた躍動感。

秋には紅葉と共に深みを増した風合い。

冬には静寂と暖かさを感じさせてくれます。

日本の風土で育まれた庵治石は「日本人の心の石」でもあるのです。

4.庵治石の産地と歴史

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数千万年の眠りから起こされて、世界に冠たる銘石が切り出される

瀬戸内海穏やかな気候と、豊かな自然に恵まれた四国最北端の半島では、
丁場と呼ばれる採石場からは、石を切り出す力強い音や、
熟練の技で石に命を吹き込む石工のノミの音が心地よく響いてきます。

石の町、庵治町・牟礼町からしか産出されない庵治石は、
きめ細かな石肌に重厚感や色艶・風格などを兼ね備えています。

日本国内では、最高級の石材として高い評価を受けるとともに、
世界的にも多くの注目を集めている屈指の銘石なのです。

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一般的に「石」と呼ばれている岩石は、
マグマが冷えて固まってできる「火成岩」、
海の底などに積もったものが固まってできる「堆積岩」、
高温や高圧で別の岩石に変わってしまった「変成岩」に大別されます。

その中の火成岩は大きく分けると、さらに3種類に分けられ、
マグマが地表や地下の浅い所で急激に冷やされてできる「火山岩」、
地下の深い場所でゆっくりと冷やされてできる「深成岩」、
両方の中ぐらいのスピードで冷やされてできる「半深成岩」があります。

庵治石や大島石に代表される墓石材の多くは深成岩の中の花崗岩に属しており、
その花崗岩の中でも、最も高級な石材が「庵治石」なのです。

ちなみに、堆積岩に属する代表的な石は石灰岩、砂岩、凝灰岩などがあり、
変成岩に属する代表的な石は大理石、千枚岩、結晶片岩などがあります。

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また、安山岩や玄武岩は火山岩に属します。
したがって、安山岩に属する、神奈川県産「本小松石」や
宮城県産の「伊達冠石」は火山岩に属し、庵治石とは異なる種類の岩石なのです。

庵治石の誕生は、時を遡ること、6500万年前から1億年前前の白亜紀後期、
ユーラシア大陸の東端で、火山活動を中心とした激しい地殻変動が起き、
地下深くのところで、マグマがゆっくり冷えて固まり深成岩として形成され、
変化した花崗岩が現在の瀬戸内海や中国地方の基盤になったと言われています。

そのころは、ちょうど人類の祖先にあたる霊長類が出現し、
小惑星の衝突により恐竜をはじめとする生物の70%が死滅したころにあたります。

今から約2000万年ほど前に地殻変動が起き、
地盤が隆起して地表に現れたのが悠久の貴重な贈り物、「庵治石」なのです。

庵治石と共に生き、共に栄えてきた数百年にもおよぶ歴史がある

四国・香川県で採掘される庵治石は、日本の墓石業界だけでなく、
世界中で最も高級な石材と称される地位を確立しており、
その価値は、他の石材でつくられる墓石や石材加工品と比べても、
庵治石細目などは、例を見ない高額な価格によっても証明されています。

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すばらしい「斑」が浮き上がった庵治石極上細目


庵治石の数ある特徴の中でも、最大の特徴として挙げられるのが、
「斑(ふ)」と呼ばれる、湿り気を与えた二重がすりのように見える模様で、
産地での伝承では、庵治石の採石場の向かい側に位置する、
源平の合戦で有名な屋島の桜が吹雪となって庵治石を包み込み、
庵治石特有の美しい模様である「斑」に姿を変えたとも言われています。

庵治石は、低い吸水性と極めて硬い性質のため、
他の墓石材と比べて、風化や変質しにくく、磨き上げるほど艶が出て、
瑞々しい美しさが長きにわたり保たれているのも特徴の一つです。

庵治石の用途は、高級墓石材や石彫、記念碑などの加工品だけではなく、
柱の下に据える礎石や敷石、張り石などの建築材としても幅広く使用されています。

時代とともに人や道具は変わっても、伝え継がれた技と誇りは変わらない

古文書によると、庵治石はすでに平安時代(794~1185)には、
瀬戸内海を渡って、遠く京都へと送り出されていたらしく、
この当時から石材産地としての地位を確立していたようです。

江戸時代に入り、各地で城づくりが盛んになってくると、
庵治石の採石・加工も、より盛んに行われるようになりました。

庵治石は、高松城内部の石垣や桜門の礎石、
また大阪城の改築にも多くの庵治石が供給されています。

そして、明治時代になると、文明開化とともに庵治石の需要は拡大し、
大正時代における第一次世界大戦の影響による好景気で、
庵治産地の石材業界は大躍進を遂げることとなるのです。

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源平屋島合戦八百年祭供養碑


第二次世界大戦後の混乱期を経た昭和30(1955)年代頃からは、
原石の採掘や製品の加工における機械化が進み、
研磨による最高の光沢が出るという庵治石の優れた特性が、
機械化による研磨により、より一層、特性が発揮され、
「世界で最も高価な石材」と言われるようになるなど、
庵治・牟礼の石材業界はますますの発展を遂げてきました。

庵治石は、低い吸水性と極めて硬い石質による優れた耐久性と、
日本三大石材加工地の一つと言われる、優れた加工技術によって、
現在では、日本国内はもとより、世界的にも高い評価を得ています。

5.最高の庵治石は、「大丁場」から

日本一の銘石、庵治石の産地は、四国、香川県・高松市の東部、
庵治町と牟礼町にまたがる、五剣山のふもとに位置します。

庵治町久通(くず)、牟礼町久通と呼ばれる町堺の久通集落から
少し庵治町側に入ったところに「御用石」という採石丁場がありました。

庵治石・大丁場
この丁場がその昔、高松藩のお殿様御用達の石を採石した場所で、
この辺りを「大丁場(おおちょうば)」と呼び、
今現在も、庵治石の産地の中心となっています。

庵治石は、一般の人が立ち入ることのできない約50か所ほどの、
採石丁場から採掘されますが、なかでも、最高品質の庵治石細目、
庵治石中目が採掘されているのが、大丁場なのです。

庵治石の中の庵治石......それが「大丁場産の庵治石」です。

庵治石に含まれている石英や、長石、雲母などの化合物は、
それぞれの結晶の大きさが小さく、その結合がち密なため、
他の花崗岩と比較すると、極めて硬質であることも特徴の一つです。

庵治石は水晶と同じモース硬度「7」という超硬質のため、
小さく細かな加工もシャープなラインで美しく仕上げることが可能です。

また、化合物の結晶の結合がち密なため、水を含みにくく、
長い年月を経ても、艶持ちが良いのも大丁場の庵治石の特性です。

この大丁場と呼ばれるところには10社の採石業者があり、
それぞれの丁場によって、庵治石細目、庵治石中目と、
同じ庵治石でも採掘される種類が異なるのです。

そして、採掘される年や時期によっても、
石の目合いや色調など、原石の状態が微妙に違うため、
庵治石の製品加工には卓越した技術を要するのです。

庵治石の外観的な特徴の一つは、きめ細かな石肌です。

庵治石や大島石など、多くの花崗岩の主成分は、
石英、長石、雲母などの化合物によって形成されていますが、
庵治石はこれら一つ一つの結晶が他の花崗岩に比べて小さく、
地質学的には「黒雲母細粒花崗閃緑岩」に分類されます。

さらに、庵治石には他のどの石材にもない、最大の特徴があります。

それが、「斑(ふ)が浮く」という庵治石特有の現象で、
石の表面に、湿り気、潤いを与えたようなまだら模様が現れ、
墓石全体が二重のかすりの着物をまとったような美しさを見せてくれます。

しかし、この現象は、すべての庵治石に見られるわけではなく、
庵治石細目を中心として現れ、特に大丁場産の高級品には、
濃淡のくっきりした美しく均一な「斑」が現れるものもあります。

これは、庵治石細目には小さな粒子の黒雲母の数が多く、
磨き上げることによって細かな紺がすりのようになるのです。

大丁場「田淵石材」産、庵治石細目特級材使用の墓石

大丁場・田淵石材産「庵治石特級極上細目
■墓石:9寸神戸型上下蓮華付2重台墓石
・使用石材(墓石・霊標)
 大丁場・田淵石材産、庵治石細目特級(香川県産)
・寸法:幅64㎝×奥行97㎝×高さ155㎝

■外柵:第一石材オリジナルデザイン・バリアフリー型
・使用石材(巻石・燈明立・塔婆立)
 SPI(ポルトガル・ニーサ産)
※フロア部のみ Y-1(インド産)
・寸法:幅150㎝×奥行200㎝×高さ30㎝
■設計・製作:株式会社 第一石材
■墓所:神戸市立鵯越墓園

大丁場「寺島石材」産の庵治石中目最高級品使用の総庵治石墓碑

大丁場・寺島石材産「庵治石中目
花崗岩に含まれる長石、石英にはさまざまな色調があり、
万成石などの桜御影石系の様な淡紅色の石もありますが、
庵治石ではそれが薄い青色になり、少量の白雲母が混ざっているため
銀粉を吹きかけたような輝きを見せるものもあります。

庵治石中目は庵治石細目と比べると、黒雲母の粒子が大きいため、
白く見え、庵治石細目のようなはっきりとした斑は出にくいのですが、
上の写真の墓石のようなみごとな斑が浮き出るものも稀にあります。

■墓石:幅64㎝×奥行91㎝×高さ138㎝(9寸神戸型2重台墓石)
・使用石材:庵治石中目最高級品(香川県産)
■外柵:幅150㎝×奥行200㎝×高さ30㎝
・使用石材:庵治石中目最高級品(香川県産)
■設計・製作:株式会社 第一石材 
■墓所:神戸市立鵯越墓園

庵治石・大丁場の石
上記の写真は、高橋是清墓碑謹刻所(牟礼町久通港に隣接した作業場/昭和11年)から
完成した墓碑を東京への輸送ため、船に積み込むところ。

高橋是清は、明治から昭和の始めにかけて我が国の財政を一手にきりまわしたが、
「二・二六事件」で凶弾に倒れた日本の元首相です。

庵治石・大丁場の石MAP

屋島から見た庵治石大丁場付近。右手前に見えるのが壇ノ浦古戦場です。


庵治石「大丁場の石」採石丁場名簿(敬称略・五十音順)

・有限会社太田秀雄石材店
・大谷産業株式会社
・株式会社岡谷石材
・有限会社木内石材商会
・大進石材株式会社
・田渕石材株式会社
・寺島石材
・中谷商事株式会社
・株式会社三好石材
・有限会社和伸石材

6.庵治石の各丁場

世界に誇る日本一の銘石、「庵治石」の産地は、
四国、香川県・高松市の庵治町と牟礼(むれ)町の町境付近一帯と,
"五剣山"と呼ばれる山の麓から西側にかけて採石丁場が広がっています。

庵治石の産地・女体山

庵治側から望む女体山


国道11号線から八栗方面に折れ、庵治街道に入り住宅街をしばらく走ると、
突然、目の前の右手方向に大きく切り立った岩肌が目に飛び込んできます。。

その岩肌は、まるでその麓の人々を見守っているかのように
悠然と天に向かい高くそびえ立っています。

この山を中心に庵治石の丁場は東と北方向に広がっています。

牟礼町久通(むれちょうひさどお)りの「ときわ橋」から
北山田(東方向)に上っていくと、採石場があります。

この辺りを「野山(のやま)丁場」といいます。

この野山丁場は、五剣山の下方向に位置し、
大半が牟礼町の氏神である白羽神社所有の山林であり、
白羽神社の氏子によって庵治石が採石されています。

庵治石の産地・丁場

国産最高級墓石材「庵治石」の採石丁場


この五剣山から西方向に延びる尾根が町界で、
北側が庵治町、南側が牟礼町となっています。

この境界付近の尾根を「女体山(にょうたいさん)」と呼び、
女体山を頂に西方向が「大丁場(おおちょうば)」、
北側に「庵治山丁場(あじやまちょうば)」が広がっています。

以前は女体山の頂上に御神体を祀り丁場師の安全を祈り、
また地域の神として崇められていましたが、
数年前に庵治石の採掘の関係から約1㎞東に移転しました。
現在ではこの頂も採掘され始め形が変わりつつあります。

この辺り一帯から多くの庵治石が採掘され、
現在、庵治石産地の中心となっていますが、
「野山丁場」「大丁場」「庵治山丁場」、
それぞれの地域から採掘される庵治石の品質は異なります。

また、同じ丁場であっても、採掘される丁場内での場所や、
採掘時期などによっても、石目・色目が微妙に異なるのです。

それだけに、庵治石での墓石をお考えの際には、
現在、どの採石丁場で、どのような庵治石が採掘されているのかのを、
きちんと把握し、的確な情報を流してくれる石材店を選ぶことが重要です。

また、同じ原石であっても、加工を手掛ける工場や石職人によって、
墓石など製品の品質に大きな違いが出るのも庵治石の難しさのゆえんです。


7.庵治石の鉱物鮮度

「鮮度」といえば、私たちの身の回りでは、
肉や魚、野菜などの生鮮食料品が思い浮かびますが、
石にも形成されてからの経過時間が新しいもの、
いわゆる「新鮮」な石の方が、品質も優れているようです。

お墓の材料である花崗岩は、火山が地中深くで噴火し、
溶岩が地中でゆっくり冷えて固まってできたものです。

これらは、岩盤から切り出して、墓石として加工をせずとも、
自然の岩肌の状態や、地中に埋もれている状態でも、
わずかずつですが、経年による劣化が始まっているのです。

それだけに、石も形成された時期が古いものより、
新しい石の方が、新鮮で良い石と言えるものが多いのです。

庵治石の鉱物鮮度

鉱物としての鮮度が新鮮である「庵治石」


世界一の銘石「庵治石」(あじいし)」は硬くて新鮮?

庵治石は地質学的には約8000何年前の中生代白亜紀頃に形成され、
世界中の花崗岩の中では、比較的新しい部類に入ります。

8000万年前の時代とは、どんな時代だったかというと、
約46億年前に地球が誕生し、約6億年前に空気がほぼ完成します。

そして、約1億年前には恐竜が全盛を極めますが、
約7500万年前に、メキシコのユカタン半島に、
直径11キロメートルの巨大隕石が激突し、
地球上の半分以上の生物が絶滅しました。

もちろん、恐竜も絶滅し、中生代が終わり新生代となりました。

このあたりの時代に、庵治石が形成されたのです。

約400万年前頃から地球上の人類が進化をはじめて、
時は一気に流れて、約400年前から庵治石は使われ始めたのです。

庵治石は、特に外国産の御影石(花崗岩)と比較すると、
時間の経過による劣化の程度が少なく、
主成分である、長石、石英、雲母などの鉱物の結合がち密で強く、
石の組織全体がしまっているため、極めて硬質なのが特徴です。

その極めて硬い性質ゆえ、ノミが立ちにくく、
庵治石の加工には手間と時間がかかりますが、
細かな細工を要する墓石のやくもの加工や彫刻品は、
他の石でつくったものと比較にならないくらい美しく仕上がります。

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「庵治石」ならではのち密な彫刻/源平合戦八百年祭供養碑(高松市・屋島山頂)


庵治石は水に強い

庵治石は、構成される主成分である、
長石や石英、雲母の結合がち密で強いため、
水を含みにくい、「吸水率」の低い花崗岩です。

吸水率の測定には、一定の大きさに切り揃えた石の、
乾燥時の重量と、24時間水中に沈下させた後の水分吸量を比較します。

凝灰岩は20%、花崗岩は0.1%~0.4%程度ですが、
庵治石細目は0.19%、庵治石中目で0.20%と低い吸水率です。

雨などにより吸い込んだ水は、石に含まれる鉄分に反応して、
サビの原因となるほか、寒冷地においては、吸い込んだ水が凍結する際に、
水の体積が約9%増加することにより、結合されている組織が、
わずかずつ、時間をかけて破壊され、風化の原因につながります。

庵治石は、吸水率が低いため、降雨後のシミや、
風化による経年劣化が極めて少ないのが特徴です。

庵治石は変色・変質しにくい

お墓は屋外に建てられるものだけに、
雨による吸水、風によって巻き上げられる砂、
寒暖による温度差など、さまざまな自然環境と経年により、
変色したり、表面の艶がなくなったりします。

しかし、庵治石においては、黒雲母の中の成分である、
鉄分の含有量が他の花崗岩と比較して極めて少ないのと、
0.19%~0.20%という低い吸水率もあって、
良質の庵治石ならば、100年経っても赤茶色に変色したり、
艶がなくなったりという変化はないと言われています。

また、硬さを表す「圧縮強度」も1平方cmあたり、
2000kgを超える負荷に耐える優れた硬さを誇るため、
建立後100年以上を経過した墓石でも、
彫刻した文字がくっきり見えるのも庵治石の特徴です。

何年経っても、青みがかった細かな模様が美しく、
変色・変質が少ないため、いつまでも綺麗な状態が続きます。

庵治石は酸に強い

通常、石は炭酸ガスや亜硫酸ガス等によって表面が減摩されますが、
花崗岩の中でも特に庵治石は化学変化に強い石であります。

近年における地球環境は悪化し、車の排気ガスや、
工場の煙などに含まれる酸性の大気汚染物質を取り込んで降る、
酸性雨には、窒素酸化物や硫黄酸化物が含まれております。

これらの大半は一酸化炭素や二酸化硫黄で、
これらのガス自体にはあまり雨を酸性化する力はありませんが、
大気中での水蒸気との化学反応により酸性度の強い硫酸や硝酸を生み出します。

庵治石は、これらの酸にも強いため、彫刻された、細かく小さな文字でも、
石の表面が崩れて読めなくなるようなことはほとんどありません。

以上のような、多くの優れた特徴により、庵治石の評価は高まり、
加工に関しても、第二次世界大戦後に機械化が進み、
研磨精度が格段と良くなってからは、それまで以上に需要が伸び、
価格も急騰し、その希少価値が認められるようになったのです。

けれども、近年においては、一部の庵治石も中国に送られ、
墓石として製品加工されたものも市場に流通しています。

卓越した技術を誇る「庵治・牟礼」の石職人の技術を持ってしても、
最も加工が難しいと言われる庵治石を中国で加工するということは、
製品の良し悪しなどは関係なく、単に利益追求としか考えられません。

庵治石だけに限らず、日本の石を中国で加工された墓石は、
すべてにおいて、安心してお買い求めいただける商品とは言い難いものです。


8.庵治石が希少価値となる所以

庵治石の中でも最も良質の「庵治石細目」が採掘される大丁場付近では、
年間約3720t【?日本石材産業協会・平成16年調べ】の庵治石が採掘されますが、
その内、墓石、燈籠、彫刻品などの製品材料として使用されるのは、
採掘された庵治石の全体量のわずか3~5%程度しかありません。

その他の石は、建築用の基礎石、庭石、石垣を築く築石(つきいし)、
そして、土木用として、護岸工事の埋め立て用などに使用されます。

庵治石は、なぜこのように、採石される量に対して、
墓石等の製品として使用される割合が少ないのかというと、
庵治石の採石丁場は他の石の採石丁場と比べると、
岩盤に入っている亀裂が非常に多いため、大きな石が採れにくいのが要因です。

庵治石が希少価値 庵治石の岩盤に入っている亀裂についての呼び名は、
庵治石の採石丁場だけで使用されている独特の用語で、
南北方向の亀裂が「かさね」、東西方向の亀裂が「二番」と呼び、
水平方向のものは「目」と呼ばれています。

この、「かさね」と呼ばれる亀裂のほとんどが縦方向に、
「二番」と呼ばれる亀裂は横方向に走っています。

庵治石が希少価値2
これらの石の状態のことを、「かさね肌」「二番肌」と呼びます。

そして、「かさね」「二番」「目」には、それぞれキズといわれる筋があり、
それぞれ「かさねキズ」「二番キズ」「目キズ」と呼ばれております。

キズには、他に、「青タン」「白キズ(こもりキズ)」
ダイナマイトによる爆破の「発破キズ」と呼ばれるものもあります。

また、キズではないのですが、一般的に「ナデ」と呼ばれる、
帯状に流れる模様が、石の表面に現れるものもあります。

この模様は、極めて美しく、珍しい図柄のものもありますが、
探して思い通りの図柄を見つけることができるといったものではありません。

近年では、この偶然にして現れた美しい柄目の石を上手く組み合わせてつくる、
世界でたった一つだけのオリジナルデザイン墓石『天の河®』も話題を呼んでいます。

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自然の石目を生かした庵治石細目「天の河」

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かさね

瀬戸内火山の活動期に、南部方向が高く、北部方向が低くなるような、
四半球状の急激な曲隆(地殻が穏やかに上方にたわむこと)により、
北側部分に放射線状の亀裂が生じました。

この筋は、南北にほぼ縦方向に走っており、
この亀裂が庵治石の産地にも起こり、
庵治石丁場の独自の言葉で「かさね」と呼ばれています。

この部分は、石割作業において最も割りにくい面方向でもあります。

「かさね肌」は、石を原石から切断する工程で見つかるので、
出来上がった製品に、このキズが残ることはほとんどありません。

二番

「かさね」に対してほぼ垂直方向(横方向)に入っている筋を「二番」といい、
石割り作業においては「かさね」の次に割りにくいとされています。

「二番肌」もかさね肌と同様に、切削や研磨工程の段階で発見されますが、
まれに判りにくいキズがあり、まれに石職人の目をくぐり抜け、
製品になってしまうこともありますので出荷の段階でのチェックを要します。

地盤に対して水平方向にあり、一番割れやすい方向でもあります。

その昔から『庵治石は玉石』という言葉が伝えられているように、
明治時代の初期頃までの採石方法として、山の花崗土を除去して、
玉石(玉状の石)の庵治石を取り出していた頃は、
土中から彫り出した石が良質な「庵治石細目」であれば、
その下にある岩盤も良質な「庵治石細目」であり、
また掘り出した玉石が「庵治石中目」であれば、
その下の岩盤も「庵治石中目」であるとされていました。

庵治石は、「中目」が採石される場所には、
比較的キズが少ないため大きな石が採石されやすいが、
「細目」が採石される場所にはキズが多いため、大きな石は採石されにくく、
中目に比べて小さな石しか採石されないといわれています。

一般的に、庵治石の丁場は他の石の採石丁場と比較すると、
キズが多いため、それぞれの筋に沿ってキズをよけながら、
キズの無い部分を岩盤から切り出すため作業効率が悪くなります。

また、採石された石を加工する段階においても、
原石の状態では見えていなかったキズ等が出てくる場合もあり、
黒玉やナデの問題、石目・色目合わせの難しさ等々、
製品に仕上がるまでのリスクが他の石種と比べて非常に高い石なのです。

以上のような理由から、「庵治石」の希少価値が高く評価され、
なぜ庵治石の産出量が少なく、高価な墓石になるのかの所以です。


9.庵治石の採石丁場の使用料

石を掘る山、採石場のことを「丁場(ちょうば)」と呼びますが、
庵治石の丁場は、大きく分けると三つの丁場があります。

先ずは、庵治町丸山に位置し、旧高松藩御用丁場の流れをくみ、
現在は大久保家が所有(株式会社オオクボエンタープライズ)し、
庵治石の中でも、最も良質の庵治石が採掘されるといわれる「大丁場」。

次は、住所地は牟礼町に位置するが、大丁場に隣接し、
ほとんどの部分が、白羽(しらは)神社所有の「野山丁場」。

そして、最後が、庵治町に位置し、主に平井家(湯谷地区)、
奴賀(ぬか)家(松尾地区・馬治地区)所有の「庵治山丁場」です。

ただし、「野山丁場」「庵治山丁場」については、一部個人所有の丁場もあります。

これらの各丁場にて庵治石の採石を行っているのは、
2005年現在、採石を休止しているところを含めて50社余りあります。

そして、これら50社余りの庵治石の採石業者は、
どこでも好きなところから、勝手に庵治石を採掘できるのではなく、
それぞれどの丁場のどのエリアが自社の採掘権かが細かく決められています。

また、庵治石を採掘するには、丁場の所有者に対し、
手数料を支払う必要があり、この手数料のことを「年貢」と言います。

庵治石の年貢

庵治石の各丁場


年貢

「年貢」とは、採石業者が支払う、「丁場」の使用料のことです。
50社余りの庵治石採石業者のうち、個人所有の丁場を除く大部分の業者は、
所有者(=地主)に対して「年貢」を支払って採石する権利を得るのです。

実際のところは、庵治石を採掘しなくても、
また採れた庵治石が、仮に売り物にならないような石であり、
事実、その石が売れなかったとしても「年貢」は必要となります。

この「年貢」が庵治石の価格決定を左右する重要なポイントの一つでもあります。

丁場の維持

庵治石の丁場を維持していくには莫大な費用がかかるのです。

丁場に続く道路の整備から始まって、採石跡の埋め戻し、
「みどりの条例」に基づいた採石跡などへの植林、
防火用貯水池や砂防ダム(山からの鉄砲水を防ぐために必要)の管理等々、
さまざまな丁場の維持管理費用が必要となってきます。

この費用は莫大なもので、すべてが採石業者にかかってきます。

庵治石の年貢

「みどりの条例」に基づいた採石跡の埋め戻し及び、植林。


庵治石丁場における採石量の許可

庵治石の採石業者は所有者に年貢を支払って、
採石する権利を持っているからといって、
好きなところで、好きなように採石できるわけではありません。

丁場の持ち主である地主(=所有者)の許可はもちろんのこと、
採石法に基づき香川県知事の許可が必要になるのです。

「大規模開発」「中規模開発」「小規模開発」といったように、
原石の採掘量と採掘期間の長さで許可の種類が分かれています。

このように、庵治石の採掘には、莫大な費用が掛かるのですが、
良い石が出るかどうかは、実際に採掘してみないことにはわかりません。

かつては、すばらしく良い石が採掘されていた丁場であっても、
ある年から突然、良い石がまったく採掘されない、といった例もあります。

それだけに、庵治石のお墓を購入される際には、
その年、その時期の各丁場の庵治石の状態に関する情報を、
よく把握している石材店を選ぶことが重要です。


10.庵治石ならではの価格の割り増し

「庵治石」と聞いて、先ず思い浮かぶのが、
"最も高級なお墓である"ということではないでしょうか。

現在では、庵治石の墓石は、最高級ブランドとして定着していますが、
意外と、墓石として有名になったのは比較的近年なのです。

庵治石の名を世に知らしめたのは、第二次世界大戦後、
戦没者の軍人墓が大量に建てられたころからです。

それ以前は、墓石としての材料より、燈籠や彫刻物が主で、
さらにさかのぼると、建築材や石垣としての需要が大部分を占めていました。

この「庵治石」が最高級墓石材として、一躍名を馳せた背景には、
庵治石は極めて硬い石質のため、細かい加工が細部まで確実にでき、
風化しにくく、長い年月にわたって美しさが保てるという理由からであります。

また、磨き上げた状態が長持ちする艶持ちの良さと、
庵治石だけに現れる独特の柄、『斑(ふ)』は、
他の花崗岩では見ることのできない美しさであります。

これらには、庵治石が優れた石質によることはもちろんのこと、
庵治・牟礼の石工達の卓越した技術があったからこそなのです。

こうして、庵治石は徐々に最高級墓石材としてブランド化され、
今日まで永きにわたり愛され続けてきたのであります。

そして、この庵治石が高価である理由の一つには、
「庵治石の割り増し」という独特の商習慣があります。

加工賃の割り増し

墓石業界においては、販売価格設定の基本方式がありますが、
加工の内容によっては、基本価格に別途加算が必要な場合が生じます。

例えば、銀杏面加工や亀腹加工などの手間を要する加工や、
蓮華加工や花立の花瓶加工などの難度を要する加工の場合などです。

このような場合に、別途加算する必要が出てくるのが「割り増し加工賃」で、
これは、庵治石に限らず、国内で加工する場合すべての石に当てはまるものです。

中国の石材加工工場では、製品精度は違えど、これらの複雑な加工を、
つい数年前まで、蓮華加工を除いては、基本価格の範囲でおこなっていたのです。

庵治石の割り増し

「割り増し」の対象となる蓮華加工、花瓶型花立等。


庵治石の割り増し価格

前述の加工賃の割り増しとは別に、庵治石には特有の割り増し価格があります。
では、どのような場合に割り増し価格の対象となるのかというと、
基本的には、3尺(約90㎝)以上の長い石や、5才(約0.14㎡)を超える量のある石、
また、霊標(墓誌)などの厚さの薄い板状のものなどが割り増しの対象となります。

つまりこれは、大きな部材や確保しにくいサイズのもの、
見える部分が多く、隠しようがなく、逃げ道のないものとなっています。

その大きな要因としては、キズの多い庵治石の地層条件が挙げられます。

庵治石の地層条件から考えると、長いものは簡単に採れないことに加え、
採れたとしても、キズなどの難点を取り除くのが極めて難しい。

また、大きな量のものは、それだけ採石時に手間も時間もかかり、
運搬作業も難しく、またこれも同様、石の難点を取り除くのが難しい。

霊標(墓誌)のように薄いものは難点を取り除くのが難しいうえ、
表裏両方の面がきれいな状態でないと、製品として使用できず、
加工途中でキズや玉、サビなどによりその石がダメになった場合に、
寸法を小さくして他の部材として使い回すことができないためであります。

これらの「割り増し」の付く条件や割増率の計算方法は、
業者によって多少の違いがありますが、「3割増し」「5割増し」や、
部材の形状によっては、「10割増し」といったものもあります。

庵治石の割り増し

世界最高級の墓石材「庵治石」の採石


割り増しとなる理由①キズの多さによる希少性

日本列島は、ユーラシアプレート、北米プレート、太平洋プレート、
フィリピン海プレートなど、複数のプレートが交わるところにあります。

それらのプレートはお互いが引っ張り合っているため、
その接点上にあり、縦に長い日本の地層構造においては、
南北にひずみが生じ、多くの亀裂が入っています。

また、日本は国土全体に火山が多いため、
火山活動が引き起こす地形の隆起による亀裂も多い。

これらの亀裂が、岩盤に現れるキズであり、
庵治石に多く見られるキズもこのようにしてできたのです。
v このように、日本の地形上の理由により、
日本で採掘される石は、中国やインドなどの、
大陸で採掘される石に比べると総じてキズが多いといえます。

特に、庵治石の産地は、瀬戸内火山帯の中に位置し、
庵治石は、その火山活動によってできた亀裂が非常に多く、
すべてのキズを避けて原石を採石することは困難を極めます。

たとえ、職人の勘と技術を以て、キズのない部分を判別できたとしても、
石の場合、必要な箇所だけをくりぬいて採掘するわけにはいきません。

つまり、キズが入っている部分とも隣接している場合がほとんどのため、
採掘しても無駄だとわかっている場所をも採掘しなければならないのです。

庵治石は、年間約3720t(日本石材産業協会・平成16年調べ)の採石量があるが、
墓石、燈籠、彫刻品の材料として使用されるのは、全体の3~5%と言われています。

これは、庵治石が墓石等に使用する数多くの石材の中で、
いかに貴重な存在であるかが、うかがえる数字であります。

大量に採掘される庵治石の原石の中で、厳選されたものだけが墓石と使用され、
さらにその中からも加工の段階で、細かく等級別に選別されるのです。

そして、大半の庵治石が、沓石や貼り石、石垣用材、漁礁用材、埋め立て用材などの、
建築用材や土木用材としてしか使用できないというのが現状です。

庵治石の割り増し

庵治石の「大割り」作業風景


割り増しとなる理由②加工時におけるリスクの高さ

庵治石は、原石を採石するときだけではなく、
採石した原石を加工するときにもリスクを伴います。

採石時においては、可能な限り、サビのある部分やキズを、
取り除いていきますが、石の中まで見ることはできません。

一見したところ、何の問題もなく見える原石でも、いざ切ってみると、
中からキズやサビ、黒玉、白玉、ナデ、ムシなどが出てくる場合があります。

そのような場合は、別の場所を切って、やり直したり、
新たな原石の確保から始めないと仕方のない場合もあります。

割り増しとなる理由③色目・石目合わせの難しさ

ひとつのお墓をつくるには、ほとんどの場合、
花立や水鉢など、複数の部材をつくることが必要となります。

その場合に問題となるのが、それぞれの部材の石目や色目合わせです。

石は、天然の素材であるため、すべてが同じものは二つとしてありません。

ただ庵治石は、他の石種と比べ、この差が顕著なため、
より一層、石目や色目を合わせ、バランスよくまとめることが困難な石です。

例えば、同じ塊から切り出したものでも目合いが異なることもあります。

ほとんどの場合は、原石や石を切る段階で、ある程度の予想はつきますが、
まれに、研磨をしてみると、印象がまったく違って見える石もあります。

そういった場合にも、別の原石から部材をつくり直す作業を、
一からやり直さなければならないため、余分な時間とコストが生じます。

庵治石の割り増し

庵治石の「小割り」作業風景


割り増しとなる理由④庵治石丁場の維持管理費

これまでの①~③で、庵治石には多くのリスクがあるため、
極めて希少価値があり、また、厳選されたものだけが、
墓石用材として使用できるということをご理解いただけたかと思います。

また、この貴重な庵治石を採掘するためには、莫大な費用が掛かります。

「年貢」と呼ばれる、丁場の所有者への使用料はもちろんのこと、
さまざまな、丁場の維持・管理費などが必要となってきます。

これら、丁場に係る諸経費は採掘されるすべて石の価格に影響をおよぼすため、
庵治石の墓石や石製品が極めて高額になっている所以でもあります。

またこれらは、墓石用材に使用する庵治石すべてに課せられるものですが、
大きい部材や長い部材、霊標(墓誌)などの薄い部材など、
よりリスクの高いものには、「庵治石の割り増し」という特別加算があるのです。

以上のように、数多くの問題点を克服したものだけが、
最高級ブランドである「庵治石」として市場に出荷されるのです。

これらを克服するには、長い年月と時間、さまざまな知恵と工夫、
卓越した技術、細かい工程、多くの石工たちの力と心意気が必要です。

これが「庵治石の割増」の所以であります。

これまでの説明で、庵治石を含む日本の石は、日本が火山国であるゆえ、
大陸で採掘される外国産の石に比べてキズ等のリスクが多いため、
石目や色目を合わせて、均整のとれた墓石に仕上げるのが極めて難しく、
日本の石本来の美しさを生かした綺麗な墓石に仕上げるには、
細かい工程と、石を知り尽くした石工の匠の技を必要とすることは、
一般の消費者の方々にもご理解いただけたのではないかと思います。

しかし、現在の日本国内における「国産墓石」と呼ばれるものの製作の現状は、
およそ80%を超えるものが中国の石材加工工場にてつくられたものなのです。

もちろん、製品の加工や研磨精度、特に石目や色目合わせなどは、
日本国内の一流職人がつくったものと比較すると大きな差があります。

ただただ、価格が日本でつくったものに比べて、
若干安いというだけで、私どもではお勧めしておりません。

「えっ!国産墓石って言ったら、当然、日本で作られているんじゃないの?」

という、質問が来そうなのですが、実際のところ、
石材自体はもちろん日本の石なのですが、
日本の石を石材商社を通じて、中国の石材加工工場に送り、
中国の石材材加工工場にて墓石等の製品に完全に仕上げて、
日本に再度輸入されたものを、「国産墓石」として販売されているのです。

これは、法律的には違法ではないのですが、
消費者側からすると、「国産墓石」と表示してあれば、
一般的には、日本でつくられているものと思うでしょう。

しかし、これらの商品を、はっきりと「中国でつくったもの!」と、
はっきり表示している石材店はそんなに多くはないでしょう。

まぁ、法的には問題なくても、モラル的には如何なものかと思いますが...

※この件について、さらに詳しく知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。
■「国産墓石」なら本当に安心?
http://www.daiichisekizai.com/blog/2012/01/entry_1786/

■国産墓石と中国産墓石のどっちが良いのか?
http://mbp-kobe.com/daiichisekizai/column/32958/


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